【渋沢栄一】ビジネスに活用する論語と算盤

大河ドラマや1万円札の新しい顔として少し前から話題の渋沢栄一。

今回はその教えである論語と算盤の中から5つピックアップして、現代のビジネスに活用するという目線で書かせていただきました。

論語と算盤とは

「日本資本主義の父」渋沢栄一の大正五(1916)年に刊行された著書。

2024年上半期をめどに、1万円札の新しい顔となる人です。

渋沢栄一とは

渋沢氏は約470社の企業の設立・発展に貢献しました。

*一部紹介
第一国立銀行(現:みずほ銀行)、東京瓦斯(東京ガス)、東京海上火災保険(現:東京海上日動火災保険)、王子製紙(現:王子製紙・日本製紙)、田園都市(現:東京急行電鉄)、秩父セメント(現:太平洋セメント)、帝国ホテル、秩父鉄道、京阪電気鉄道、東京証券取引所、麒麟麦酒(現:キリンホールディングス)、サッポロビール(現:サッポロホールディングス)、東洋紡績(現:東洋紡)、大日本製糖、明治製糖、澁澤倉庫

渋沢氏は江戸幕府の武士から明治政府大蔵省に入省しましたが、「わが日本は、商売が最も振るわぬ。これが振るわねば、日本の国富を増進することができぬ。」と考え、明治6年に商人となる決心をしました。

しかし「士農工商」の思想がまだ色濃く残る時代。
将来はともに国務大臣になろうと希望をいだいていた同僚から、「賤(いや)しむべき金銭に眼が眩(くら)み、官を去って商人になるとは実に呆れる。」と馬鹿にされます。

その時、渋沢氏は「私は、道徳心を持って経済を発展させて見せる」と言い、そこから「論語と算盤」という言葉が生まれました。

そして、「私は論語で一生を貫いて見せる。金銭を取り扱うが何ゆえ賤しいか、君のように金銭を卑しむようでは国家は立たぬ。」と言い、経済の発展に心血を注ぎました。

現代の経営に活かす論語と算盤

信無くんば立たず

弟子の子貢(しこう)が 政治の要道(大切な道)を尋ねた。
先師が答えられた。「食(食料)を豊にし、兵(軍備)を充実し、民に信(道義)を持たせることだ」
子貢が尋ねた。「どうしてもやむなく、捨てなければ為らないときに、この三つの中どれを先に捨てればよいでしょうか」
先師が言われた。「兵を捨てよう」
子貢が更に尋ねた。「どうしてもやむなく捨てなければならないときに、この二つの中どれを先にすればよいでしょうか」
先師が言われた。「食を捨てよう。昔から食の有無に関わらず、人は皆死ぬものだ。然し人に信がなくなると社会は成り立たない」

論語 顔淵第十二より
この教えをビジネスに置き換えると・・・

これは、政治についての問答ですが、【政(まつりごと)】の部分を企業や組織と置き換える事も出来ます。

孔子が、弟子の子貢から政治の重要なポイントについて質問を受けます。

孔子は、3つを強調します。

  1. 食料を十分にする 
  2. 軍備を十分にする
  3. 信頼をもたせる

これをビジネスでは、

  1. 資金を十分にする 
  2. 社屋や備品を十分にする
  3. 社員間の信頼感を高める

と置き換える事もできます。

子貢は、「この3つのうち、やむをえずどれかを捨てなければならないとしたら、どれを最初にしたらいいでしょうか」とたずねました。

孔子は「社屋や備品を捨てることだ」と答えました。

更に子貢は、「残る2つのうち、どうしても捨てなければならないとしたら、どちらを先に捨てたら、いいでしょうか」とたずねました。

孔子は「資金を捨てることだ」と答えます。

子貢は、驚きます。(資金が無ければ倒産してしまう…)

孔子は、続けて語ります。

「昔から、人は必ずいつかは死んでゆくものだ。しかし人と人との信頼関係が無くなったら、すべてが立ち行かなくなってしまう。」

企業や組織の上司と部下の信頼関係、従業員と経営者の信頼関係が最も大事であると言っています。

いくら経営資金が潤沢にあっても、どれだけ立派な社屋があっても、人と人の信頼関係が、崩れてしまった組織が成長することはありません。

組織内の信頼を貯めることが重要です。

子曰く、君子は器ならず

論語の中で「器(うつわ)」とは、特定の用途を持つ道具の事を指します。

孔子は「出来た人物は、特定の働きを持った器のようではない」と言っています。

この教えをビジネスに置き換えると

「私は事務職なので営業はどうも…」
「私は製造部なので人事の事はちょっと…」

など組織のリーダーは、特定の分野だけに強いだけでは十分と言えなません。

一役一芸にのみ役立って、他のことに役立たない人は「器物」と言えます。

限定された分野に経験や技量を持っていることも大事なことだが、リーダーには、ビジネス全体にわたる総合的な知識や大局観的な視点が求められます。

例えて言うなら…

ビジネスバッグではなく風呂敷になるということ。

風呂敷は包む物によって、丸いもの、長いもの、四角の物、どんな形の物でも、自由自在に形を変えて包み込むことが出来ます。

最初から万能な器になることは出来ません。

まずは特定の分野にとことん打ち込んで、その完成を志すことが大切です。

子曰わく、君子は言(げん)に訥(とつ)にして

先師が言われた。
「君子は、たとえ口は重くても、テキパキ行動しようと思うものだよ。」
訥弁」(とつべん)という言葉があります。
辞書には…
「話が下手なこと」「口下手」「つかえたりして、なめらかでない下手なしゃべり方」
組織のリーダーは「立て板に水」のように話す必要はないが、行動は迅速でありたいものだ。と言われています。

この教えをビジネスに置き換えると・・・

人を動かすことは大変なこと。

口先だけで厳しく指示や命令を出せば、チームは動くかもしれない。

しかしそこに「納得」は生まれません。

自分は動かず、口先だけで部下を動かそうとするリーダーの部下達の心は、最終的には離れて行ってしまいます。

メンバーを「納得」させるには、自らの行動や態度で示していく必要があります。
課題に対してリーダー自身が素早く行動し、汗を流している姿を示せば、そこにメンバーたちの、行動に対する「納得」が生まれます。

徳は孤ならず、必ず隣(となり)有り

先師が言われた。
「報いを求めず、陰徳を積んでいる者は、決して一人ぽっちではない。
必ず思わぬところにこれを知る者がいるものだ。」

「徳は孤ならず、必ず鄰有り」・・・
徳行を貫き通している人は決して孤立しない。
きっといつかは理解者や仲間が現われるであろう。という意味です。

【意味の補足】

「陰徳」とは人知れずそっと積む善行のこと。

コツコツと正しい道を貫いて事業を続けていても、なかなか陽の目を見ないこともあるし、

世間の非難を浴びながらも、利益が上がり注目が集まる人もいる。

しかし、孔子は、「気にするな。あなたの隣にあなたのことを理解してくれる人が、必ず現れる」と勇気を与えてくれている。

※神奈川県を中心に展開する書店チェーンであり、また出版社である、「株式会社有隣堂」さんの店名もここを由来としています。

君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず

先師が言われた。

「君子は、誰とも仲良くするが、強いて調子を合わせたりしない。小人は誰とも調子を合わせるが、心から仲良くしない」

この教えをビジネスに置き換えると・・・

組織は「調和」が大事、とよく言われています。
「調和」とは「和を調える」という意味。

たくさんの人たちが一緒に働く職場。
その一人一人は、すべて違った経験、体験をして成長してきました。
だから、考え方や感じ方が異なるのは当然のこと。
そんな人々が、ひとつの目標に向かっていくときには、「調和」と「協調」が必要になります。

自分の意見はしっかりと主張する。
他人の違った意見にも耳を傾け、通すところは通し、受け入れるところは受け入れる。
そういった安易に妥協しない姿勢が大切だと教えてくれています。
その意見のぶつかり合いは決して「和」を乱しているのではなく、新しい展開への重要なプロセスです。

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