クラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは、クラウド(crowd=群衆)とファンディング(funding=資金調達)からなる言葉で、意味もそのまま「群衆から資金調達する」という事です。
「こんな事をするので資金を集めています!」ということを、インターネットを通じて発信し、その想いに共感した人たちが資金を出すという仕組みになっています。
例えば、「コロナ最前線で働く医療従事者に防護服を届けたい!」というプロジェクトが経ち上がり、その想いに共感した人たちが資金を出してくれて、その資金を使ってプロジェクトを立ち上げた人たちが防護服を購入し、医療従事者に届けるというような形になります。
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングは、主に3つの種類があります。
①購入型
こちらは、お金以外のリターンがあるクラウドファンディングです。
例えば、美容室がクラウドファンディングをしていた場合、1万円支援してくれたらカラーリング1回サービスします!みたいな形です。
リターンはモノでもOKなので、カフェがクラウドファンディングした際に、5千円の支援でコーヒー豆ギフト送ります!のような形でもOKです。
②寄附型
こちらはその名の通り寄附なので、対価性のあるリターンはありません。
支援した側のメリットは、寄附による税制優遇が受けられるという部分になります。
③金融型
こちらはお金のリターンを伴うものになります。
例えば、資金を出してもらう代わりに、株式を発行し、配当金などを受け取る場合がこの金融型に該当するクラウドファンディングになります。
余談ですが、今後IPOを考えてる会社は、金融型でのクラウドファンディングはしないことをおすすめします。
全て株式を買い戻してからでないと、IPOできないと考えた方が良いでしょう。
クラウドファンディングできるサイト
いざクラウドファンディングを始めてみようと思って調べると、クラウドファンディングのサイトはいくつもあります。
有名どころは READYFOR(レディーフォー) とCAMPFIRE (キャンプファイヤー)になります。
READYFOR(レディーフォー)
2011年3月にリリースされたサービスになります。
2020年5月時点で支援額の累計が120億円にものぼります。
手数料は12%~(決済額を含む)となっております。
READYFORには、キュレーターと呼ばれる認定・准認定ファンドレイザー® 有資格者が在籍しており、支援者の共感を広く集めるためのサポートを行ってくれます。
キュレーターにサポートしてもらう場合は、手数料が17%となります。
READYFORの広告では、“ READYFORなら、4人に3人がクラウドファンディングによる資金調達に成功”と書かれております。
CAMPFIRE (キャンプファイヤー)
2011年6月にマイクロ・パトロン・プラットフォームCAMPFIREとして開始されたサービスになります。
2020年5月現在、34,000件以上のプロジェクトが立ち上がり、250万人以上の人から220億円以上の支援が生まれております。
CAMPFIREの手数料は12%、決済手数料は5%です。
CAMPFIREは本体とは別に、いくつかサービスを展開しており、手数料が異なるので、自分がクラウドファンディングしたいプロジェクトに当てはまるものを探してみましょう。
その他のサイト
READYFOR(レディーフォー) とCAMPFIRE (キャンプファイヤー) がクラウドファンディングの2大巨頭とも言えますが、他にもクラウドファンディングできるサイトはいくつかあります。
株式会社マクアケが展開する「Makuake」。
きびだんご株式会社が展開する「kibidango」。
株式会社ワンモアが展開する「 GREEN FUNDING」。
株式会社MotionGalleryが展開する「 MotionGallery 」。
株式会社Relicが展開する「ENjiNE」。
クラウドファンディングの始め方
自分が立ち上げたい(資金を集めたい)プロジェクトに合ったサイトでプロジェクトを開くだけです。
審査はありますが、始めるのはとっても簡単です。
「どうやったら資金を集められるか?」ではなく、「どうしたら想いや活動に共感してもらえるか?」を考えて文章を書きましょう。
ただ、「お金が必要なんです!」では、伝わらないのは言うまでもないです。
「どうしてその資金が必要なのか?」、「そのプロジェクトが達成された未来には、誰がどのように幸せになるのか?」これらを明確に書きましょう。
大丈夫、「シャネルのバッグが欲しいんです!」とかそういう個人的な欲じゃない限り(そもそも審査通らないとは思うけど)、あなたの想いはちゃんと届きますよ!
どんなリターンが好まれるか?
金額で言うと、5,000円~10,000円の金額が一番支援されやすい金額です。
CAMPFIREで“人気のリターン”を見ていると、必ずしも「手に取りやすいもの」ではないことがわかります。
「うちの商品、万人受けするものじゃないから…」とチャレンジを辞めないで下さいね。
やはり、元々人気のあったお店は強いです。
かなりマイナーなバーとかでも、恐らく常連客が支援をしてるのだろうというプロジェクトが見受けられたりします。
あとは、関わってる人数が多いプロジェクトも、多く支援されてます。
例えば、“〇〇商店街を救いたい!”などですと、商店街にお店を出している人、その家族、親戚、商店街に訪れる人…どんどん関係者は広がります。
プロジェクトに関わる人数の母数を増やすというのは、戦略の一つです。
リターンは「手に取りやすいもの」とは限らないとは言っても、「このリターンもらっても…」っていうものは、やはり支援側として考えると「困る」の一言につきます。
とっつきやすいものだと嬉しいですね。
飲食店ですと飲食のチケット、何か商品があるお店(お菓子や雑貨など)はやはり商品、映画館ですと映画観賞券などですね。
調査している中で、どの業種でもよく見かけるのが、Tシャツでした。
その他、ポストカードやクリアファイル、エコバッグのようなシンプルなバッグなどもあるようです。
好まれるリターンの参考ネタ
どんなリターンにしたら良いだろう?と悩んでる方のために、ネタを少しまとめました。
・手軽なものだとサンキューレター
・既に売り切れてしまった商品の復刻版
・商品が複数セットでお得になってるもの
・単体商品だけど買うよりお得になってるもの
・普段買うことができない非売品が一緒についてくる
・サービスだと一年間使い放題など(年払いでお得)
・高額リターンはオーナー出張など(講演等)
・特別イベント招待(リリースパーティ等)
成功事例から見るリターン例
今まで成功したプロジェクトは、どんなリターンを出していたのでしょうか?
ラジオ局が本気で作る、今までにないラジオ【Hint(ヒント)】
部屋のどこにいても、360°クリアな音が響くこちらの商品。
1台21,500円、文字刻印だと24,000円、限定カラー30,000円。
100,000円以上の高額支援になると、15分間のミニラジオを作り音源をプレゼントしてくれたり、 局報(このHintラジオを告知する20秒スポットCM)に声の出演ができたりというリターンもありました。
こちらは、ラジオでの拡散もあったと思いますので、支援者への認知拡大も大きいプロジェクトだったと思います。
使ってみたくなるリターンが、更に支援を加速させた例でした。
キングコング西野の個展『えんとつ町のプペル展』を入場無料で開催したい!
クラウドファンディングが広まったのは、この方のおかげという部分もありますね。
支援金3,000円で2016年12月12日(19時半開演)に東京キネマ倶楽部で開催される絵本読み聞かせ&演奏会(一階席)の参加権が獲得できて、215人が支援しました。
支援金3,000円でオリジナルトートバッグを獲得した方は210人、 【限定300冊】誕生日メッセージ&イラスト入り『えんとつ町のプペル』一冊」 作者直筆の誕生日メッセージ&イラストが入った絵本『えんとつ町のプペル』は全て支援者が決まりました。
たくさんのリターンが用意されておりましたが、どのリターンにも支援者が多く集まっておりました。
こちらは芸能人ということもあり、リターン含め注目度が高かった例になります。
大阪北部地震で被害を受けた一人親家庭の子どもたちの塾 渡塾「高槻校」を再建する!
こちらは所謂“商品”があるプロジェクトではないので、「想いが人を動かした」と言えるような事例になります。
一人親の家庭を支える「学習塾」が必要であること、被災してビルが壊滅的被害を受けたこと、そして、「学習塾」がなくなったことによる子供たちの精神的負担を考えると、すぐにでも再建して欲しい気持ちになるプロジェクトでした。
リターンは、基本的には新教室開校記念冊子や、ブログ・ホームページでのお名前の掲載です。
支援者は、モノが欲しいからではなく、子供たちが安全に通える学習塾を再建して欲しいという想いで支援されたのだと思います。
こちらは、プロジェクトそのものの内容がとても大事な例ですね。
着たくないのに、毎日着てしまう。クセになるジャケットとパンツが出来ました!!
こちらはクラウドファンディングを通して商品を知ってもらう、リターンとして割引価格や限定カラーで手に入れる例になります。
例えば、 【限定カラー!ブラック】 FAST PASS TAILORED JACKET & CHINO PANTS(セットアップ) 通常37,800円→29,000円(消費税、送料込) というような形で、特別感、お得感がある形でリターンが用意されており、人気がありました。
今やクラウドファンディングは、商品を知ってもらうための戦略の一つという考え方もあるようですね。
北海道・上富良野で、地ホップ100%の超希少クラフトビールをつくる!
こちらは地域に根付いたプロジェクト例です。
地域活性化のプロジェクトは、“その土地にいないと受け取れないリターン”も多くあります。
このプロジェクトのリターンで面白かったのが、300,000円の支援金で権利を得られる「忽布古丹秘密の会」へご入会というもの。
非常に興味深いです。
「次回の限定ビールのスタイルを決める」「ラベルデザインへのご意見をいただく」「ヒミツの飲み会へのお誘い」などを想定されている会のようで、このように“ファンをつくる”にもクラウドファンディングは有効な手段と言えます。
【まとめ】クラウドファンディングのリターンから見る成功事例
結論から言うと、クラウドファンディングはリターンが全てではないです。
どうしてそのプロジェクトが今必要なのか、こちらが非常に重要になってきます。
商品やサービスを持っているようであれば、認知拡大という形でも使えます。
個人的には“本当に困ってる人たち”のところへ資金が届いて欲しい気持ちもありますが、株式を発行して第三者割当増資をするという形よりも、手軽に資金調達できるという位置づけが、今の“クラウドファンディング”なのかなとも思います。