日本全体の人口が減る中で、政府は2014年に「地方創生」という政策を打ち出し地方の活性化を支援し始めました。
最近ではSDGsの中でも「住み続けられるまちづくりを」といった目標が掲げられ、地方の活性化、地域創生は世界的な目標となっているのです。
とはいえ、地域創生とは何なのでしょうか?この記事では、地域創生とは何か?という根本的な部分を踏まえて、実際に成功した自治体の例を紹介していきます。
地域創生とは
「地方創生」「地域創生」とは読んで字のごとく、地方・地域を再生する、活性化させるということです。
イベントの開催や、子育てしやすい環境を整えるための制作、IT企業などの法人誘致など、取り組んでいる自治体は増えています。
ではなぜ地域創生が今叫ばれているのでしょうか?
それは「東京への一極集中」があげられます。
総務省の統計でも、東京・神奈川・埼玉・千葉が圧倒的に人口の流入が多く、その他の地域では人が流出し人口が減少しているのです。
地方にとっては、若い人が流出することで、地元の企業へ就職する働き手が減り、企業の新陳代謝が悪くなります。
ひいては、サービスを提供する企業が衰退し、サービスの受け取になる消費者もより良いサービスを求めて都心へ流出してしまうため、一極集中が加速してしまうのです。
これを防ぐために、今は国単位・地方単位での「地域創生」「地域活性化」が必要なのです。
地域創生の鍵を握るのは「まち」「ひと」「しごと」の3本柱
地方創生・地域創生のキーワードとなるのは「まち」「ひと」「しごと」の3つです。
雇用を生み出し、人材を活用することで「しごと」と「ひと」がうまく循環し、働きやすく住みやすい「まち」が創られるのです。
政府が掲げる地方創生・地域創生の基本目標は以下の4つとなっています。
- 稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする
- 地方とのつながりを築き、地方への新しい人の流れをつくる
- 結婚、出産、子育ての希望をかなえる
- 人が集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域を創る
地域創生のためには、十分な資金と事業アイディア、地元民の協力などさまざまな要因が必要です。
地域創生に成功した事例を紹介
ヤマゼンコミュニケイションズ「栃木のYahoo!になろう」
最初に紹介するのが、栃木県宇都宮市でホームページ作成を手掛けている「ヤマゼンコミュニケイションズ株式会社」です。
この会社は「栃木のYahoo!になろう」をスローガンとして、地元エリアのことなら何でもわかるサイト「栃ナビ!」を運営しています。
「地元のお店を検索したら、出てくるのはまとめサイトの記事だけ。メニューやアクセス方法、駐車場の有無もわからず何も参考にならなかった…」
こんな経験は誰にでもあるはず。
栃ナビでは、投稿されたクチコミをそのまま掲載するのではなくスタッフが直接取材に行ってお店の許諾を得たもののみを掲載するというこだわりよう。
お店以外にも、施設やイベント情報、求人情報に至るまで掲載されているのですから驚きますよね。
観光客、地元民、店舗を営む人全員に受け入れられるサービスを提供することを目標としているそうです。
インターネットだけでなく、紙媒体での「紙トチナビ!」を発行することで、ネットに精通していない層にもアプローチしています。
地元でも人気企業の一角になり、新卒採用では3名の採用枠に対して600名もの応募があったそうです。
アイエスエフネットグループ「就労困難者の自立支援」
アイエスエフネットグループは本来エンジニアなどIT系の人材の求人を広く扱っている企業です。
こちらの企業の地方創生は、川崎市における生活保護受給者や障がい者など、就労が困難な方の自立を支援する取り組みでした。
まずは川崎市の就労困難者200人と面談したそうです。
生活困窮者の中でも「求人があればすぐに働ける人」、「働くことに不安がある」、「すぐの就労は困難」とさまざまな方がいるもの…。
すぐに働ける人をまずは有期雇用として採用し、2~3ヵ月後には正社員として迎え入れたそうです。
また「働くことに不安がある」と答えた方には、まず会社に来てもらい研修や事業見学などをしてもらって、就労に向けて進路判断を再度受けてもらうなどサポートを手厚くしたことが功を奏しました。
もちろん、最初からうまくいったわけではなかったそうですが、こうした取り組みが少しずつ実を結び2013年に「生活困窮者を100名採用する」という目標を2014年には見事に達成。
今後も生活困窮者や障がい者への就労支援、雇用創出に取り組んでいくそうです。
地域創生から日本活性へ
地方創生・地域創生では、一極集中を是正しようとしています。
今日本全体で人口が減っており、若者が将来へ希望を持てなくなっています。
地方が潤う事で、日本全体が活性化し、未来を担う若者が希望を持って生きることができるようになるでしょう。
地方創生、地域創生の鍵を握るのは「まち」「ひと」「しごと」が3本柱ですが、一番は「ひと」である住民のための政策であることを忘れてはいけません。