広報戦略と言われても、メディアになじみのない広報担当者からしてみると、漠然としていて何をしていいかわからないもの。
今回は、そんな悩める広報担当者の方向けに、実際に広報戦略に成功したハウステンボスの事例をもとに紹介します。
令和の広報戦略とは?
広報戦略とは、簡単に言えば
「当社はこんなものを作っています。こんなイベントをやっています。」という事を、一般消費者に広く周知してもらう活動のことです。
一昔前、広報戦略といえば単なる情報発信に過ぎませんでした。
「自社を宣伝したい!」という意図だけでテレビCMや広告を打つだけ、広報というより広告といった方がいいでしょう。
令和の広報戦略は、単に情報を発信するだけでなく、ネットやSNSを駆使して、会社のイメージを発信し、拡散、周知される事までが広報戦略になっているのです。
広報戦略の具体的な立て方は?成功例から3つのポイントを解説!
広報戦略を調べても「目的を明確化しよう」だとか「ステークホルダーと信頼関係を築こう」といった曖昧な記述ばかりで困っていませんか?
今回はわかりやすいように、実際に広報戦略が成功したハウステンボスの例から広報戦略の具体的な立て方やポイントを解説します。
開業依頼19年赤字だったハウステンボスはどうして半年で黒字化できた?
ハウステンボスは長崎県佐世保市にある巨大テーマパーク。東京ディズニーリゾートの1.5倍もの敷地面積をほこります。
しかし地元民は100万人にも満たず、佐世保市は雨が降りやすいなど環境にも恵まれなかったこともあり、2003年破綻に追い込まれました。
その後、いろいろな企業が引き継いで再建を試みましたがどれもうまくいかず…。
ところが、2010年4月にHISの傘下に入ったところ、開業以来初の黒字に転換するという大復活劇を遂げたのです。
ハウステンボスの広報戦略は、なぜうまくいったのでしょう?
広報戦略の立て方と、3つのポイントに絞って見ていきましょう。
自分たちの会社の強みを知ろう
ただ漠然と「うちの会社を知ってもらおう」では広報戦略は成功できません。
「自分たちの会社の強みは何だろう?それによって人に何が提供できるだろう?」と考えてみましょう。
先ほどのハウステンボスの例で考えてみます。
ハウステンボスは日本最大の敷地面積に加えて、園内に大きな運河が流れています。
そこで当時流行していた漫画『ワンピース』に出てくる海賊船を運河に走らせたのですが、これが大当たり。
大きな運河と、外国を模した街並みは異国情緒あふれ、自分が漫画の世界に行けたような気持ちになれたそうです。
また、ハウステンボスはもともと園内の花壇には力を入れていた経緯があったため、『100万本のバラ祭り』というイベントを企画しました。
広大な敷地一面のバラは圧巻であり、これも全国から人が集まりました。
ハウステンボスだからできる事、ハウステンボスの魅力を最大限に活かしたというわけです。
自社の強みや魅力に基づいた広報活動をすること
ハウステンボスを再建するさい、当初は「とにかく値段を安くしよう」という事で、入場料を安くし、最終的に夜は入場料をタダにしたそうです。しかし、それでも人が来ない…。
そこで、ハウステンボスが『オランダの美しい街並みを再現したテーマパーク』であるという原点にもどることに。
『徹底的に掃除をして美しい景観を楽しんでもらう』をコンセプトに、掃除を徹底したところ、入場者が増えたそうです。
さらに、異国情緒あふれる街並みにイルミネーションをほどこし700万球もの電飾をつけた所、これが大ヒットしました。
広報活動をする時は「それが自社の強みや魅力と結びついているか」を考える必要があります。
広報活動の後、PDCAを忘れない
ハウステンボスはもちろん、最初から黒字に一直線だったわけではありません。
佐世保市に隣接する有田の『有田陶器市』は、1週間で100万人もの人が集まります。
そこでハウステンボスでも陶器市を開催したものの、入場者は増えなかったそうです。
その失敗から「表面だけ成功している人の真似をしてもダメ、ハウステンボスだけの魅力を引き出せるものを」と試行錯誤を繰り返していったそうです。
広報戦略に正解はありません。
まずはトライしてみること、そこから「なぜ失敗したのか」を考えて、改善すべき点は改善し、さらにトライすることが大切です。
他にもある!広報戦略が成功している企業といえば?
世界一広報戦略が成功している企業といえば、スターバックスです。
スターバックスはコーヒーの価格としては、高価格帯ですが、全世界にファンがいます。
新作を発表するだけで、女性ファンがお店に列を作り、我先にとSNSに写真をアップします。
男性ファンも「カフェで仕事中」などのハッシュタグをつけて、パソコンとスターバックスのカップが移る写真をSNSに載せる人が大勢います。
これはスターバックスの広報戦略のたまものです。
『高級感がある』『オシャレ』『インスタ映えする』こうしたイメージを決して崩さずに広告を展開してきました。
これもやはり
「スターバックスにしかない強みや魅力」
すなわち、高級感のある店内やオシャレなビバレッジを
「強みにあった形で広報活動する」
つまり、SNSに映える、ついシェアしたくなるような写真をアップするという戦略的な広報の結果です。
この広報がもし、芸能人が製品名をテレビCMで言うようなものであったら、スターバックスのイメージは大きく下がり「安っぽい」「オシャレじゃない」「ダサい」とひんしゅくをかってしまうでしょう。
広報戦略はトライ&エラーをくり返すこと
広報戦略には、正解がありません。
ですが、単に「商品を買って欲しい・自社を知って欲しい」といった情報をSNSなどで発信するだけでは、一般消費者の目には留まりませんし、心をつかむこともできないのです。
広告戦略を立てる時に大切なのは
- 自社の強みや魅力を把握すること
- その強みを活かせる広報活動をする
- 広報活動の後、改善点などを話し合いPDCA繰り返す
この3つです。
皆さんの広報戦略が成功するよう、祈っています。