自身のウェブサイトやSNSなどで、ネットで見つけた他人の画像や文章を転載したことはありますか?
「これって著作権侵害になるのかな?」
と不安になったことがある…心のあたりのある方もいるはずです。
こうした場合、著作権の「引用」であれば違法にはなりませんが、具体的にどんな状況であれば著作権の侵害にあたるのかは、わからないものです。
この記事では著作権についての基本的な考え方や、引用するさいのルールなどを説明していきます。
正しいルールを理解して、より良いウェブコンテンツ作りに活かしましょう。
著作権とは?
「著作物」とは自分の考えや気持ちを作品として表現したもの。
「著作者」とはその著作物を制作した人。
「著作権」とは著作者に対して法律で定められた権利のことです。
著作物の中には、小説や脚本、絵画など形のあるものはもちろんのこと。
音楽や舞踊、コンピュータープログラムなども著作物にあたります。
「著作権」は著作物が他の人に無断で利用されないように、著作者を守るための権利のことです。
著作権侵害になる主なケース
著作権の侵害とは、簡単にいうと「著作者の意に反するような扱いをしてはいけない」というものです。
具体的に著作権の侵害になるケースとしては、以下のようなものがあります。
- 人気の楽曲の歌詞を「引用」の手順を踏まずにブログに掲載する
- Twitterなどで他人の投稿をコピペして投稿する
- 録画したテレビや映画、音楽を動画サイトにアップロードする
- 漫画や小説などを不特定多数の人が見られる状態にする
- 他人の写真を無断でネットにのせる
とはいえ、全ての著作物に関する行為が違法になるわけではありません。
以下で説明するような場合、著作権の侵害にはあたりません。
著作権侵害にならない4つのケース
著作物では無い場合
以下にあげるようなものは、著作物として認められません。
そのため、合法的に利用が可能です。
- ありふれた表現や題名、ごく短い文章
- 歴史的な事実やデータの数値
- 事実の伝達、時事報道
- 法律、通達、裁判所の判決
- 著作者の死後50年以上が経過した著作物
- 公表後70年を経過した映画の著作物
季節の挨拶など、ありふれた表現は著作物ではありません。
「作者のオリジナリティ」が認められないものは著作物ではないためです。
また歴史的な事実や客観的なデータの数値、法律や通達などは、正確な報道のために必要なことですからこれらも著作権の侵害にはあたりません。
著作権の保護期間は死後50年と定められています。
映画の場合、公表後70年までとなっています。これらの期間が経過すると著作権による保護がなくなります。
著作者の許可を得ている場合
著作物についてあらかじめ著作者に許可を得ている場合、著作権の侵害にはあたりません。
とはいえ、著作者の許可を得ているからと言って何をしてもいいわけではないのでご注意を。
- 著作者が許可した範囲を超えて利用をしないこと
- 著作者と著作権者が異なっている場合は著作権者の許可をとる事
著作者が著作権を他人に譲渡している場合もあります。
こうした場合は、必ず著作権者の許可をとってから利用しましょう。
引用をしている場合
引用とは、著作物を自身のコンテンツに取り入れることです。文章だけでなく、画像や動画も引用することが可能です。
著作物の無断利用は違法ですが「引用」であれば、違法ではありません。
引用については、細かくルールが設けられているので、のちほど詳しく説明していきます。
転載の許可を受けている場合
「転載」とは著作物の大部分を複製・コピーして利用する行為のことです。引用は後述する細かいルールを守れば、著作者の許可は不要ですが、転載の場合、著作者に無断で行うことは出来ません。
とはいえ、著作者の許可なく転載できるケースがあるので解説します。
以下の3つのケースは無断転載が可能なので覚えておきましょう。
- 行政機関が公表した広報資料など
- 新聞や雑誌に掲載された時事問題に関する論悦
- 政治上の演説や裁判上の陳述
これらについては、諸条件を満たせば無断で転載できますが、そのさいは出所の明示を忘れないようにしましょう。
基本的には「もともと不特定多数のために発表された公的なもの」は無断転載できる、とイメージするとわかりやすいかもしれません。
引用する場合の5つのルールとは?
主従が明確であること
ここでいう主従とは、コンテンツの「量」のことです。
自分たちのオリジナルコンテンツが「主」であり、引用されているコンテンツが「従」である必要があります。
オリジナルコンテンツの量が極端に少ないケースや、創作性のない説明書きに引用文や画像を沿えているケースは、正当な「引用」として認められません。
引用の必要があること
引用が合法とされるのは、引用の必要性がある場合に限られています。
他人のコンテンツと自分のオリジナルコンテンツを比較して、それについて論じる場合は「引用の必要がある」と認められます。
ただし単に自分のウェブサイトなどに人を集めるために、他人のコンテンツを掲載するような場合は「引用の必要がある」とはいえません。
区別が明確であること
引用する場合、引用部分と自分たちのオリジナル部分との区別を明確にする必要があります。
カッコをつける、枠で囲むなど工夫して掲載しましょう。
引用部分が自分たちのオリジナルコンテンツであるかのように誤解させてしまう転載方法では「引用」とは認められません。
引用元が明記されていること
引用が合法とされるためには、引用元を明記する必要があります。
- ウェブサイト名とURL
- 書籍の名称や著者名
こうした点を明記して、閲覧者がすぐわかるようにしておきましょう。
引用するコンテンツに修正を加えていないこと
他人のコンテンツを引用するためには、修正を加えないことが条件です。
どこかを変えて掲載すると「引用」とは認められないので注意しましょう。
ルールを守って自社コンテンツのクオリティを高めよう
コンテンツを作成するにあたって、他人のコンテンツと比較したり紹介したり、といった行為はときに必要なことです。
ですがルールを守らないと、著作権侵害にあたってしまうことも…。
引用のルールを正しく理解すれば、著作者の許可をえることなく、コンテンツに著作物を引用することが可能になります。
今回解説した著作権、引用のルールをしっかりと守って自社コンテンツのクオリティを高めましょう。