マーケティングに関わる方であれば、一度は耳にする「リブランディング」という言葉。
ネットで「リブランディング+事例」と検索すると、リニューアルされたパッケージの写真がずらりと並びます。
しかし、ここで「わが社もリブランディングだ!パッケージを新しくしよう!」と安易な行動を起こしてはいけません。
この記事では、リブランディングでよくある誤解と、リブランディングをするタイミングや成功に導くためのポイントを解説していきます。
リブランディングとは
リブランディングとは「ブランディング」に「RE」を付けたもの。ブランディングは「ブランドを形成するためのさまざまな施策」をREは「再び・新しく」を意味しています。
例えば「会社や製品のロゴを作る」「キャッチコピーを考える」「パッケージなどをデザインする」「名称や商標を決める」といったことがブランディングです。
これらに「RE」つまり「再び・新しく」するのですから、リブランディングとは「ブランドのイメージを刷新する・再構築する」という意味になります。
リブランディングにありがちな誤解
よくリブランディングについての相談を受ける中で、多くの方が誤解されていることがあるので解説します。
それは「リブランディング=パッケージやロゴの刷新する」と定義している方が多いことです。
リブランディングは、前述した通り「ブランドを再構築する」ことですから、パッケージやロゴを新しくするだけではないのです。
それらは「リブランディング」ではなく「パッケージのリニューアル」です。
リブランディングとは、時代とともに変わる価値観や考え方を今の時代に合わせて構築し、ユーザーにブランドの考え方を伝えていくことです。
例えば、次項で紹介するタイミングで、リブランディングを検討してみるといいでしょう。
リブランディングすべき4つのタイミング
リブランディングを検討するタイミングには、以下のようなタイミングあります。
ブランドの表現が古い
ユーザーの嗜好は日々変わります。何年も続いた伝統であったとしても、それが今の時代に合っていないなら時代にあったものにするべきです。
よくある失敗例として「昭和レトロが流行しているから」と「昭和のままのデザインを継続して利用する」というものがあります。ユーザーが求めているのは「昭和レトロ風のデザイン」であって「古い昭和感」ではありません。
例えば、牛乳石けんを思い出してください。赤い箱に牛が描かれた印象的なロゴですが、実は94年の歴史の中で11回もロゴをマイナーチェンジしているのです。
常に時代にあったデザインに調整することで、ブランドイメージをフレッシュに保っています。
新しいマーケットに参入する
新しいマーケットに参入する時には、競合との差別化が欠かせません。
例えば、羊羹で有名なとらやのリブランディングを紹介します。とらやは2007年にカフェ事業の展開を始めました。それに伴って、ロゴが「とらや」から「TORAYA」へ表記が変わり、パッケージも刷新されています。
結果として、TORAYAのカフェは成功をおさめており、現在は4店舗がオープンしています。
ユーザーに伝えたいブランドの新しい理想ができた
経営者が変わったことに伴って、新しいブランドの理想ができたり、ユーザーに伝えたい新しいイメージがわいたりした時もリブランディングのタイミングです。
例えば、カラムーチョやポリンキーで知られる湖池屋は新社長の就任に伴って新しいブランドイメージが発足しました。
「妥協なくおいしいポテトチップスを作る」というブランドイメージをユーザーに届けるために生まれたのが「KOIKEYA PRIDE POTATO」であり、発売から一ヵ月を待たずに品切れ状態になるなど大きな話題を呼びました。
現在のブランディングがうまくいっていない
現在の自社のブランディングがうまくいっていない、ユーザーに伝わっていない場合、早急にリブランディングすべきです。
売上が低下している、競合他社と比べて見劣りする、ユーザーアンケートでの回答が自社のイメージと一致していないなど、現在のブランディングに問題を抱えていませんか。
リブランディングを成功に導く3つのポイント
ブランドの核を作る
まずはブランドの核を明確化しましょう。
ここで大切なのは「Why」「How」「What」の3つです。
- WHY:なぜやるのか?
- HOW:どうやるのか?
- WHAT:なにをやるのか?
先ほどのTORAYAの例をとって、実際に当てはめてみます。
- WHY:美味しい和菓子を届けるため
- HOW:新しくカフェを始める
- WHAT:ロゴやパッケージを刷新する
ここで、大切なのが企業の今回である「WHY」の部分は変更しないことです。WHYの部分がぶれてしまうと、リブランディングが暗礁に乗り上げてしまいます。
企業の各であるWHYは変えず、HOWとWHATの部分は柔軟に変更していきましょう。
分析から始める
ここで大切なのが、きちんとデータを集めることです。「自社製品のメインターゲット層は若い女性。若い女性といえば、ピンクが好きなはず!」と勝手な思い込みでリブランディングを進めても成果にはつながりません。
まずは、何を分析することが重要なのか初心に戻って客観的なデータを集めましょう。
- 社内について=インタビューやアンケート
- ユーザーについて=インタビューやアンケート、販売分析ツール
・競合他社について=実際に利用して
多角的な視点で調査を行うのは骨の折れる作業です。しかし、こうした地道なリサーチがリブランディングを成功につなげる大切なプロセスです。
新しいイメージを浸透させる
リブランディングで刷新するものには以下のようなものがあります。
- ブランドコンセプトコピー
- デザイン
- ブランドロゴ
- パッケージ
- 名刺や封筒
- ウェブサイト
- ブランドブック、リーフレット
こうした作品は統一感を意識してください。バラバラではユーザーに正しくブランドイメージが伝わりません。また、リブランディングは新しくしておわり、ではありません。
新しいイメージを浸透させ、守っていく必要があります。
正しいリブランディングの知識で成果につなげよう
リブランディングを、パッケージやロゴを刷新するだけだと勘違いしていませんか。
リブランディングとは、ブランドが伝えたい理想をユーザーへ正しく伝えること、イメージを新しく構築することです。
リブランディングするなら、まずはリサーチをしっかりと行うこと。また「WHY=なぜやるのか」「HOW=どうやるのか」「WHAT=何をやるのか」の3つを大切にしましょう。WHYはリブランディングの根幹にあたるので、変更しないように。HOWとWHATは柔軟い変更しましょう。
新しくリブランディングしたブランドイメージは長い時間かけて浸透していきます。リブランディングは新しくして終わり、ではなく、ブランドイメージを守っていくその後の時間も大切な工程の1つなのです。